結論を3行で

  • 展示会ブースのARは、「通路で足を止める・ブースで体験させる・SNSで拡散させる」の3点で効きます。来場者が足早に5〜10社しか回らない会場で、素通りを止め、滞在と回遊を伸ばす仕掛けとして機能します。
  • 代表的な使い方は、フォトスポット・製品の3D原寸デモ・回遊スタンプ・ARクイズ/ゲーム・名刺/配布物ARの5系統。目的(認知・体験・リード)に合わせて動線に沿って配置するのがコツです。
  • 本記事では、活用パターン5選・ブース動線への配置設計・実事例・費用と制作期間・回遊率を測るKPI・成果につながる企画の原則を、AR制作会社の視点でまとめました。
3.5億回ARエフェクトの累計再生実績(自社全体)
78m下田・黒船ARを原寸再現(大型空間AR演出)
20–50万円展示会・イベント系ARで多い発注の価格帯
出典:TOBIDASE 実績・受注データ(各案件の実測値)

「展示会に出展するが、ブースの前を素通りされてしまう」「名刺は集まるのに、記憶に残る商談につながらない」——BtoB展示会でよく聞く悩みです。来場者は限られた時間で会場を回るため、1社あたりの接点はごくわずか。そこで注目されているのが、スマホをかざすだけで体験が立ち上がる展示会ブースのAR活用です。本記事では、実際にイベント・展示空間のAR制作を手がける立場から、集客・回遊率を上げる仕掛けを整理します。イベント全般での使い方はARイベント活用の完全ガイドもあわせてご覧ください。

展示会ブースでARが効く理由|「立ち止まる・体験する・拡散する」

展示会は「短時間・大量出展・情報過多」の場です。訪問先が5〜10社ほどに絞られ、1社あたりの滞在を10分前後と見積もる展示会もあります。2026年に業務目的の来場者1,089人を調べた展示会白書の来場者調査でも、1ブースの滞在時間は「5〜10分未満」が36.8%、「10〜20分未満」が39.5%でした。この限られた接点で成果を出すには、①足を止めてもらう ②滞在を伸ばす ③帰った後も思い出してもらう、の3段階が必要です。ARは、この3つを一度に押し上げられるのが強みです。

  • 「何だろう」と足を止めさせる:通路側に大型AR演出やフォトスポットを置くと、遠くからでも視線を集められます。素通りされる最大の壁=“立ち止まらない”を突破する装置になります。
  • 体験がそのまま滞在時間になる:パネルを読むだけの展示と違い、ARは「かざす・動かす・撮る」という能動的な体験。手を動かす時間だけブース滞在が伸び、その間に商談のきっかけが生まれます。
  • 来場者が拡散の起点になる:ARで撮った写真・動画はSNS投稿の主役になります。会場に来ていない見込み客にもリーチが広がり、出展効果が会期後まで続くのです。
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ここがポイントARを「目立つ演出」として単発で置くと、話題にはなっても商談に残りません。認知(足を止める)・体験(滞在を伸ばす)・リード(連絡先と記憶を残す)のどこを主目的にするかを先に決めると、選ぶARと置き場所が自然に絞れます。

展示会ブースのAR活用パターン5選

展示会で使われるARは、「来場者に何をさせたいか」で整理すると選びやすくなります。代表的な5パターンを、狙い・体験内容・向いている出展目的で見ていきます。まずは自社ブースの課題と、追いたいKPIが一致する行から候補を絞ってください。

主目的向いているAR設置場所最初に見るKPI
認知・足止めフォトスポット通路側立ち止まり数・撮影開始数
製品理解3D・原寸デモ説明員の近く体験開始数・完了率
ブース回遊ARスタンプラリー複数の展示ポイントポイント通過率・完走率
会話のきっかけARクイズ・診断・ゲーム待機列・商談席の手前回答完了数・説明員への接続数
会期後フォロー名刺・配布物AR出口・資料配布場所再訪数・フォーム到達数

① フォトスポット・記念撮影AR

ブースの一角やパネルにARを仕込み、来場者が自分のスマホでキャラクター・製品・世界観と一緒に記念撮影できるタイプです。アプリ不要のWebARで実装すれば、QRを読むだけで体験でき、行列や機材の負担も抑えられます。「撮りたくなる絵」を用意することが、そのままSNS拡散の燃料になります。ブランドの世界観を打ち出したい出展や、BtoC寄りの製品PRと好相性です。

② 製品の3D・原寸ARデモ

大型機械・建材・車両・設備など、ブースに実物を持ち込めない製品を、原寸大の3D ARで“その場に出現”させるタイプです。来場者は製品の周囲を歩いて見たり、内部構造や設置イメージを確認したりできます。カタログや動画では伝わらない「大きさ・質感・使う場面」を体感させられるのが最大の武器で、BtoB・産業系の出展で商談の質を上げます。当社では原寸大の大型AR(下田港の全長78mの黒船ARなど)の実績があり、この技術は製品デモにそのまま応用できます。

下田港内めぐりARの体験フロー図。QRコードで起動し、航行中に眼前の海上へ全長78mの黒船ARが出現、タップでペリー提督が登場する演出の流れ
原寸大の大型AR演出の一例(下田・黒船ARの体験フロー資料)。全長78mの3Dを“目の前”に出す技術は、実物を持ち込めない製品の原寸ARデモにも応用できる。事例詳細

③ ブース回遊AR(スタンプラリー)

ブース内やパビリオン内の複数ポイントをARスタンプで巡らせ、奥まで回遊させるタイプです。「全部集めるとノベルティ」といったゲーミフィケーションで、通り抜けを防ぎ滞在を伸ばします。複数出展社をまたぐ会場全体のスタンプラリーにも展開でき、回遊率とポイント別の体験ログを把握できます。設計と費用は、後段の規模別表で比較できます。

④ ARクイズ・診断・ゲーム

製品知識のクイズ、課題を選ぶ診断、ルーレットやミニゲームをスマホで体験してもらい、説明員との会話のきっかけを作るタイプです。「スコアで景品」といった参加理由を用意すると待ち時間も体験に変えられます。回答結果に応じて見せる製品や説明を分ければ、単なる賑やかしで終わらず、来場者の関心に合う商談へつなげられます。

⑤ 名刺・配布物AR(リード獲得と会期後フォロー)

配布するチラシ・名刺・カタログにARを紐づけ、持ち帰った後にかざすと製品動画や3Dが立ち上がるタイプです。ブースで話しきれない情報を“持ち帰り体験”として届けられ、会期後の想起・再訪問を後押しします。QR起動のWebARでは、起動数・完了数・時刻・導線別アクセスを匿名で計測できます。個人単位で営業リードに結び付ける場合は、フォームや名刺受付など別の識別導線と接続します。

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「アプリ不要」が体験率を左右する展示会で最も離脱が起きるのは「アプリを入れてください」の一言です。WebARなら、QRを読む→ブラウザで即体験まで数秒。混雑する会場で参加率を最大化したいなら、専用アプリ前提の設計は避けるのが定石です。

ブース動線とAR配置の設計|誘引→体験→回遊→リード

ARは「置けば効く」わけではありません。来場者の動線に沿って、目的の違うARを段階的に配置することで、足を止める→体験→回遊→リードの流れが生まれます。下図は、その配置の考え方をブースの平面でまとめたものです。

展示会ブースの動線とAR配置図。会場通路側の誘引AR(大型サイネージ・床面AR)から、フォトスポット・製品3D原寸ARでの体験・撮影、ブース内ARスタンプでの回遊、名刺・配布物ARでのリード獲得とSNS拡散まで、来場者の回遊動線に沿って4つのAR接点を配置した平面図
ブース動線とAR配置の基本形。通路側の「誘引」で足を止め、中で「体験・回遊」させ、出口で「リード・拡散」につなぐ。

この設計の狙いは、来場者を各段階で取りこぼさず次に送ることです。展示会の集客は下図のような“ファネル”で考えると、ARをどこに効かせるべきかが見えてきます。通路の通行者は大半が素通りし、立ち寄り・体験・リードへと絞られていく——その各段階の離脱を、AR接点で一段ずつ食い止めるイメージです。

展示会の集客ファネル図。通路を通行→立ち止まる・立ち寄る→体験・ブース回遊→リード獲得→SNS拡散の5段階と、各段階に効くAR(誘引AR・フォトスポットAR・3Dデモ/ARスタンプ・配布物AR・UGC)を対応させた図。リード獲得は来場者の5〜10%が一般的な目安と注記
展示会の集客ファネルとARが効く場所。各段階の「取りこぼし」を減らし、次段階へ送客する装置としてARを配置する。
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配置で見落としがちな点体験ARをブースの一番奥だけに置くと、そもそも足を止めていない来場者には届きません。通路側の「誘引」と奥の「体験」は必ずセットで設計してください。また会場は通信が混みやすいため、事前の回線・端末検証を怠ると当日フリーズします。

【事例】イベント・展示空間でのAR施策

ここでは、TOBIDASEが手がけたイベント・展示空間でのAR施策を紹介します。いずれも展示会ブースそのものの成果事例ではなく、展示空間での体験設計や会場でのSNS参加を、展示会へ応用できる隣接事例です。展示会での来場数・商談数の実績として読み替えず、企画と実装の参考としてご覧ください。

角川武蔵野ミュージアムの石壁に点描作品が浮かぶ、点描画家BANANA YAMAMOTO×ARコラボの紹介ビジュアル(タイトル文字入り)
点描画家 BANANA YAMAMOTO × AR。展示空間の巨大な作品がスマホ越しに動き出すコラボ企画で、アート展示にAR体験を重ねた例(work記事サムネ・タイトル文字入り)。事例詳細

BANANA YAMAMOTO × ARは、点描アートという“静止した展示物”にARを重ね、来場者のスマホの中で作品が動き出す体験を作った事例です。展示空間そのものを体験コンテンツに変えるこの発想は、展示会ブースの製品・パネルを「動く展示」に変えるのにそのまま使えます。

舞鶴カレーフェスタ会場の赤れんが倉庫前の人出と、カレーのイラストが降るInstagramリールARエフェクト実画面を合わせた紹介ビジュアル(タイトル文字入り)
舞鶴カレーフェスタ×ARエフェクト。会場で来場者が撮影・投稿したくなるSNSエフェクトで、イベントのSNS拡散を最大化した例(work記事サムネ・タイトル文字入り)。事例詳細

舞鶴カレーフェスタでは、会場で使えるInstagram ARエフェクトを制作し、来場者自身の投稿を促す導線を作りました。これはMeta Spark終了前の過去事例であり、現在の新規施策では同じ「撮って投稿したくなる」企画をWebARや現行のSNSエフェクト基盤へ置き換えて設計します。

展示会AR施策の費用と制作期間の目安

展示会ARの費用は、選ぶパターン・3Dや動画の作り込み・既存素材(製品3Dデータやロゴ)を再利用できるかで大きく変わります。下表は制作会社の視点でまとめた規模別のおおまかな目安です。正確な金額は要件で変動するため、個別のご相談で提示します。

プラン規模代表的な展示会AR費用の目安制作期間の目安向いている出展
スターターフォトスポットAR/配布物AR(WebAR)20〜40万円3〜4週間〜まず集客・撮影・拡散から試したい
スタンダード製品3D原寸デモ/ブース回遊ARスタンプ40〜100万円1〜2ヶ月製品体験と回遊・リード取得を両立したい
プレミアム大型空間演出/会場連動・データ計測込み100万円〜2〜3ヶ月基幹展示・大型ブースで体験を作り込む
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費用を抑えるコツ製品の3D CADデータや既存の動画・ロゴ素材を再利用できると、モデリング費を大きく圧縮できます。逆に、当日の運用スタッフ・据置端末・通信環境の手当ては別途必要です。金額の内訳の見方はAR制作の費用相場【2026年版・料金早見表】で詳しく解説しています。

展示会ARの効果測定|回遊率・体験率・商談接続を追うKPI

展示会ARの成否は、技術の派手さではなく、通路から体験、商談までを一本の導線として測れるかで決まります。会期前に目的を1つ決め、次の分母と分子をそろえておくと、単なる「体験数」だけで終わらず、どこで離脱したかを改善できます。

KPI計算方法数字が低いときに見直す点
立ち止まり率立ち止まった人数 ÷ ブース前の通行人数通路からの見え方、コピー、AR体験の見本
体験開始率AR起動数 ÷ ブース立ち寄り人数QRの位置と大きさ、説明員の声かけ、起動手順
体験完了率完了数 ÷ 起動数読み込み時間、操作数、体験時間、端末対応
回遊完了率全ポイント完了人数 ÷ 参加人数ポイント配置、難易度、景品条件、混雑箇所
商談接続率説明員への接続・フォーム完了数 ÷ AR参加人数結果画面のCTA、スタッフ台本、商談席への導線

まずは日別・時間帯別・配置別に同じ定義で記録し、会期中にQR位置や声かけを変えて比較します。WebARの標準ログは匿名の起動・完了・通過データが中心です。個人別のフォローへつなぐ場合は、名刺受付やフォーム送信と分けて取得し、来場者に利用目的が分かる導線にします。

集客・回遊率を上げる企画3原則

技術的に「動くAR」を作ることと、展示会で集客と商談につながるARを作ることは別物です。数多くのイベント・展示案件から見えてきた、成果につながる企画の原則を3つに絞って共有します。

  • ①「通路から見える」ことを最優先にする:どんなに凝ったARでも、足を止めなければ体験ゼロです。通路側の誘引(大型ビジュアル・フォトスポット)に予算と面積を先に割り当てます。
  • ②“撮って投稿したくなる”絵を用意する来場者が広告塔になる導線を作れば、会場外の見込み客にも届きます。ハッシュタグと撮影ガイドをブースに掲示しておくと投稿率が上がります。
  • ③KPIを先に1つ決める:名刺獲得数・滞在時間・SNS投稿数のどれを最優先にするかで、選ぶパターンも配置も変わります。全部を狙うと、どれも中途半端になります。

導入の進め方|企画から会期当日までの4ステップ

展示会ARは、おおむね次の4ステップで進みます。出展テーマや会場レギュレーション、既存の3D資産の有無で期間は前後します。

  • STEP1 目的とKPIの決定:認知・体験・リードのどれを主目的にするかを定め、ブース面積と動線に落とし込む。
  • STEP2 パターン選定・演出設計:フォトスポット/3Dデモ/回遊スタンプ/配布物ARから選び、再利用できる素材と必要な権利を確認する。
  • STEP3 制作・実装・会場検証:3Dや動画の制作、WebARの実装、そして本番会場を想定した通信・端末の動作検証を行う。
  • STEP4 会期当日の運用:QR掲示・撮影ガイド・スタッフ導線を整え、体験と投稿を後押しする。取得データは会期後のフォローに使う。

会期前の最終確認では、次の5点を実機で通します。

  • 混雑時間帯を想定した会場回線と、主要なiPhone・Android端末で起動できるか
  • 通路からQRと「何が起きるか」が読め、照明の反射や影で認識を妨げないか
  • 待機列が商談席や避難導線を塞がず、スタッフが短い説明で体験を案内できるか
  • 景品・撮影・フォーム入力に必要な権利表示と利用目的を来場者が確認できるか
  • 通信や端末で起動できない場合に、動画・静止画・口頭デモへ切り替えられるか
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早めの相談が効く理由展示会には動かせない「会期」があり、ブース施工やパネル入稿の締切と連動します。特に製品の3D ARはモデリングに時間がかかるため、会期の2〜3ヶ月前にご相談いただけると、最適なパターンと配置をご提案できます。準備物や納期の全体像はAR制作の依頼の流れ|期間・納期・準備するものをご覧ください。

よくある質問

来場者にアプリのインストールは必要ですか?

WebARで実装すれば不要です。QRコードを読み込むとブラウザで体験が立ち上がるため、専用アプリのダウンロードは要りません。混雑する会場では、この「アプリ不要」が体験率を大きく左右します。TikTokのARエフェクトはTikTokアプリ内で体験します。Instagramでは第三者制作エフェクトの公開基盤Meta Sparkが2025年1月に終了したため、新規施策はWebARや現行のSNSエフェクト基盤から選びます。

実物を持ち込めない大型製品もARで見せられますか?

可能です。製品を原寸大の3D ARとしてブースに出現させ、来場者が周囲を歩いて確認できます。3D CADデータがあればモデリング費を抑えられます。全長78mの黒船を原寸で出した実績もあり、大型設備・車両・建材の展示に応用できます。

展示会ARの費用はどのくらいからですか?

フォトスポットARや配布物ARなどのWebARなら20〜40万円程度から、製品3Dデモやブース回遊ARスタンプは40〜100万円程度が目安です。大型の空間演出やデータ計測まで作り込む場合は100万円以上になります。詳しい条件は上の規模別表で比較できます。

効果測定(回遊率やリード)はできますか?

できます。QR起動のWebARでは、匿名の起動数・完了数・時間帯・ポイント別通過数などを計測できます。ARスタンプラリー形式なら、どの地点で離脱したかも確認できます。個人単位のリード判定には、フォームや名刺受付との接続が別途必要です。

展示会ブースのAR施策はTOBIDASEにご相談ください

展示会ブースのARは、動線に沿って目的の違うARを配置することで、素通りを止め、滞在・回遊・リード・拡散までを一気通貫でつなげられます。TOBIDASEはフォトスポットARからアプリ不要のWebAR、原寸大の大型3D演出まで、イベント・展示案件を数多く手がけ、累計4億回の再生実績を積み上げてきました。「ブースに製品を原寸で出したい」「回遊を増やしたい」といった段階からで構いません。まずはお問い合わせフォームから、出展する展示会・ブース面積・狙いたい成果をお聞かせください。最適なパターンと、費用・期間の目安を添えてご提案します。

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企画が固まっていない段階でも大丈夫です。目的と会場の条件をうかがって、実現できる形と費用の目安を先にお出しします。

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